当院では各種ワクチンを取り扱っております。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は肺炎に加えて髄膜炎、敗血症などの感染症の原因となる細菌です。現在日本で使用できる肺炎球菌感染を予防するワクチンは23価(ニューモバックス)、20価(プレベナー20)、15価(バクニュバンス)肺炎球菌ワクチンの3種類です。過去の研究で65歳以上の方に対して23価肺炎球菌ワクチンを接種することで重症の肺炎球菌感染症リスクを75%、肺炎球菌性肺炎リスクを50%減らすことが示されています。23価肺炎球菌ワクチンは初回接種から4~7年経過すると抗体価が大きく低下するため、5年後以降に再接種をすることでより長期に効果が持続することが期待されています。一方で15価、20価肺炎球菌ワクチンは1回接種により終生免疫を獲得できるといわれており、年齢や基礎疾患によってお勧めするワクチンになります。
接種が推奨される方
1.23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)
すべての65才以上の方で現在は65才から5才刻みで定期接種の対象となります。過去に接種歴がなく、該当年齢に当てはまる方は大阪市から助成が受けられます。
2. 20価肺炎球菌ワクチン(プレベナー)
20価の血清型に対応しています。海外では65歳以上の肺炎球菌ワクチンの第一選択として推奨されています。詳しくは医師にご相談ください。
3.15価肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス)
15価の血清型に対応しています。高齢者または肺炎球菌による疾患罹患リスクが高い方に接種が推奨されます。詳しくは医師にご相談ください。
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹は水ぼうそうのウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が体内に潜伏し、加齢などが原因で免疫機能が低下するとウイルスが再び活性化して皮膚に痛みの伴う発疹が現れます。特に50才代から発症率は高くなり、80才までに3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。帯状疱疹の予防には生ワクチンである水痘帯状疱疹ワクチンと不活化ワクチンであるシングリックスが使用可能です。
生ワクチン(水痘帯状疱疹ワクチン)
生ワクチンは1回接種で5年間効果を継続することができ、帯状疱疹発症リスクを約50%低下するといわれています。ただし80才以上の方は予防効果が約20%程度である可能性が報告されています(米国帯状疱疹生ワクチン添付文書より)。生ワクチンですので、免疫が低下している方には使用できません。
不活化ワクチン(シングリックス)
2回接種行うことで十分な予防効果が得られ、少なくとも10年以上効果は持続し、帯状疱疹発症リスクを約90%低下するといわれています。また、年齢別による予防接種効果にも差異はありません。筋肉注射が必要で1回接種後、通常2か月後に2回目の接種を行います。効果も持続期間も長いため海外では第一選択として推奨されていますが、金額が高額である点が難点です。
接種が推奨される方
・50才以上の方、帯状疱疹に罹患するリスクが高い18才以上の方
風疹・麻疹混合(MR)ワクチン
風疹は熱、発疹、リンパ節の腫れなどを起こす感染症です。風疹の抗体のない妊娠中(特に初期)の女性が風疹にかかると、先天性風疹症候群(白内障、心疾患、難聴など)の赤ちゃんが生まれてくる事があります。麻疹(はしか)は感染力が強く、熱、鼻水、発疹などを起こし重症化する場合があります。現在、風疹・麻疹単独ワクチンの流通がなく、どちらの予防目的でも混合ワクチンの接種となります。
接種が推奨される方
過去に感染歴がない、またはMRワクチンを2回接種していないすべての方、医療従事者などで抗体価が低い場合には接種が必要です。特に妊娠の可能性のある女性とその配偶者には風疹予防のために接種を強く推奨され、大阪市では下記の方を対象に助成が受けられます。
MRワクチンの公費助成対象者(風疹抗体価が低いことが条件です)
・妊娠を希望する女性またはその配偶者
・定期接種のない昭和37年4月2日~昭和54年4月1日に生まれた男性
<はしかの予防接種について>
過去に感染歴がない、またはMRワクチンを2回接種していないすべての方、医療従事者などで抗体価が低い場合には接種が必要です。昨今の感染リスクの懸念からお問い合わせを多く頂いておりますが、発注可能なワクチン数のみの対応となりますので、ワクチンが納入され次第、予約順での接種となります。ご予約頂いても結果的に納入不可能のため、接種が困難となる可能性もありますこと、あらかじめご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
よくあるご質問
・はしかの抗体があるかを確認する方法はありますか?
まずは母子手帳でワクチンを接種しているかをご確認ください。2回接種をしている場合は十分な免疫がある場合がほとんどです。1回接種または未接種の方、はしかを発症したことがない方は抗体が十分にない可能性がありますので、血液検査で十分な抗体価を有しているかを確認できます。
・はしかの抗体を確認しなくてもワクチン接種は可能ですか?
ワクチン接種は可能ですが、十分な抗体価がある場合には必要性のない接種となります。必要な方にワクチンをお届けするためにも抗体検査を行っていただくのが現状よいと思われます。
・はしかの抗体検査、ワクチン接種の金額はいくらですか?
当院では抗体検査は3000円、ワクチン接種(MRワクチン)は10500円頂いております。
ムンプスウイルスワクチン
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)とも言われ、唾液腺の腫れが主な症状です。合併症として髄膜炎が最も多く、そのほか小児では難聴が問題になっています。合併症予防のためワクチン接種は重要であり、2回の接種が推奨されています。
接種が推奨される方
・すべての医療従事者
HPVワクチン
HPV(ヒトパピローマウイルス)は主に性交渉から感染するウイルスで、性交渉経験のある女性の80%以上が感染するといわれています。HPV感染で最も重要なのは、子宮頸癌リスクが上昇することです。子宮頸癌の予防効果は、ガーダシルが60~70%に対してシルガード9は90%以上と報告されています。小学6年生から高校1年生相当の女子(接種期限:高校1年生相当の3月31日まで)は定期接種として接種可能です。
その他ワクチン
下記一覧表に記載がないものでも、対応可能な場合がありますのでお電話にてお問い合わせください。ワクチンを希望される方は必ずご予約をお願いいたします。予約後、日程変更は可能ですが原則キャンセルはできませんのでご了承をお願いいたします。ワクチン接種予防証明書発行(費用:2200円)ご希望の方は受付でお申し出ください。
来院時にお待たせすることのないよう、事前予約をお願いします。インターネットから予約が難しい場合、電話でご連絡をお願いいたします。
TEL: 06-6180-0307