Sさん:骨粗しょう症の診断はどのように行われるのでしょうか?
O医師:骨粗しょう症の診断には、骨密度測定が重要です。特に「DXA(デキサ)法」と呼ばれるX線を用いた検査が標準的です。また、エコー検査で骨密度の推定を行うこともあります。
Sさん:なにか骨粗しょう症のサインとなる症状や異変はありますか?
O医師:背が縮んだり、背中や腰が痛くなったりする場合は、骨粗しょう症の可能性があります。例えば、身長が若い時より2.5cm縮んだ場合は骨粗しょう症のリスクが高まっているといわれています。また、転倒しやすくなったと感じたら、早めに受診しましょう。
Sさん:もし骨粗しょう症と診断された場合、どのような治療法がありますか?
O医師:薬物療法と生活習慣の改善があります。薬物療法では、骨の分解を抑える薬や骨の形成を促進する薬が使用されます。生活習慣の改善では、食事や運動が重要になります。
Sさん:薬物療法について詳しく教えてください。
O医師:骨粗しょう症の薬には、以下のようなものがあります。
・活性型ビタミンD₃製剤
活性型ビタミンD₃製剤は、腸管からのカルシウム吸収を促進し、骨形成を助けます。代表的な製剤には、アルファロール®やエディロール®があります。
・選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)
SERMは、エストロゲン受容体に選択的に作用し、骨組織ではエストロゲン様の効果を示して骨吸収を抑制します。代表的なSERMにはラロキシフェンがあります。
・ビスホスホネート製剤(例:アレンドロネート、リセドロネート)
ビスホスホネート製剤は、骨を破壊する破骨細胞の働きを抑制することで、骨吸収を抑え、骨密度の低下を防ぎます。内服薬として広く使用されていますが、腎不全の方には慎重投与もしくは使用できない場合もあります。
・デノスマブ(商品名:プラリア®)
デノスマブは、破骨細胞の形成や働きを抑制するヒト型モノクローナル抗体製剤です。半年に1回の皮下注射で効果を発揮し、骨密度を増加させ、骨折リスクを低減します。ビスホスホネート製剤よりも強い効果が期待できるとされています。カルシウムを増やすビタミンDの併用が必要です。
・副甲状腺ホルモン製剤(例:テリパラチド)
テリパラチドは、副甲状腺ホルモンの一部を合成した製剤で、骨を作る骨芽細胞の働きを活性化させ、骨形成を促進します。これにより、骨密度を上昇させ、骨折リスクを低減します。投与期間は24ヶ月を超えることはできません。
・副甲状腺ホルモン関連ペプチドアナログ(商品名:アパロパラチド)
アパロパラチドは、骨形成を促進する作用があります。1日1回、80μgを皮下注射することで骨密度を増加させ、骨折リスクを低減します。ただし、投与期間は18ヵ月間までとされています。
・ロモソズマブ(商品名:イベニティ®)
ロモソズマブは、骨形成を促進し、同時に骨吸収を抑制する新しいタイプの薬剤です。月に1回の皮下注射で効果を発揮し、骨密度を増加させ、骨折リスクを低減します。ただし、使用期間は12ヶ月間までとされています。
Sさん:薬を使用する際の注意点はありますか?
O医師:骨粗しょう症の薬の中には、内服・注射期間が決められている薬があります。例えば、SERMは3~5年、ビスホスホネート製剤は3~5年、プラリアは5年程度などが目安といわれています。継続期間はかかりつけの先生と相談しましょう。
Sさん:薬だけでなく、予防方法も知りたいです。
O医師:骨粗しょう症の予防には、適切な食事と運動が重要です。カルシウムやビタミンDを多く含む食品を摂取し、適度な運動を行うことが大切です。
Sさん:具体的に、どのような食事や運動が予防に役立ちますか?
O医師:カルシウムは乳製品、小魚、大豆製品に多く含まれています。ビタミンDは魚やキノコ類に豊富です。運動では、ウォーキングや筋力トレーニングが推奨されます。日光浴もビタミンDの生成に役立ちますので、目安としては1日1時間の日照時間を確保しましょう。
Sさん:ありがとうございました。今後の生活習慣を見直し、骨粗しょう症の予防に努めます。
O医師:それが大切です。定期的な健康チェックも忘れずに行いましょう。
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