甲状腺機能亢進症


O医師とSさんの対談形式で、甲状腺機能亢進症の定義、鑑別、治療、および食事上の注意点についてお話しします。

 

Sさん:先生、甲状腺機能亢進症とは何ですか?

O医師:甲状腺機能亢進症は、甲状腺が過剰にホルモンを分泌する状態を指します。これにより、新陳代謝が異常に活発になり、体重減少、心拍数の増加、発汗過多、手の震えなどの症状が現れます。

Sさん:どのような原因でこの状態が引き起こされるのですか?

O医師:一番多い原因疾患として、バセドウ病があります。これは自己免疫疾患で、免疫系が甲状腺を過剰に刺激してしまいます。他にも、甲状腺炎や甲状腺腫瘍などが原因となることがあります。

 

甲状腺機能亢進症の原因として、以下の疾患が考えられます。

  • バセドウ病(Graves' disease:自己免疫疾患の一種で、甲状腺全体が過剰にホルモンを産生します。
  • プランマー病(Plummer's disease:甲状腺の一部が結節性に肥大し、過剰なホルモンを分泌する状態です。
  • 亜急性甲状腺炎:ウイルス感染などが原因で、一時的に甲状腺ホルモンが過剰に放出される炎症性疾患です。

Sさん:診断はどのように行われるのですか?

O医師:まず、血液検査で甲状腺ホルモン(T3T4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値を測定します。これらの値が異常であれば、甲状腺の抗体検査、甲状腺シンチグラフィーや超音波検査などを行い、原因を特定します。

Sさん:治療法について教えてください。

O医師:治療法は原因や症状の程度によって異なります。一般的には、抗甲状腺薬を使用してホルモンの分泌を抑制します。場合によっては、放射性ヨウ素療法や手術で甲状腺の一部を除去することも検討されます。

Sさん:抗甲状腺薬に副作用はありますか?

O医師:一番注意する必要があるのは「無顆粒球症」という白血球の成分のうち顆粒球(特に好中球)が減少してほとんどなくなる病気になります。死亡例も報告されている重篤な副作用で、特に内服開始後3か月以内に発症することが多いので、3か月以内は注意して血液検査を定期的に行う必要があります。そのほかにも、肝機能障害、薬疹、発熱、関節痛などがでる場合があるので、症状が出現した場合は主治医に相談することが重要です。また治療開始後に脱毛を訴える方がおられますが、これは副作用ではなく甲状腺機能の変化によるものです。甲状腺機能が正常化すれば必ず脱毛は止まりますので、内服を継続することが重要です。

Sさん:食事面で注意すべきことはありますか?

O医師:甲状腺機能亢進症の方は、ヨウ素の過剰摂取を避けることが重要です。ヨウ素は甲状腺ホルモンの生成に関与しており、過剰に摂取すると症状が悪化する可能性があります。具体的には、昆布やわかめなどの海藻類の摂取を控えるようにしましょう。

Sさん:他に気を付けるべきことはありますか?

O医師カフェインやアルコールの摂取も控えめにすることが望ましいです。カフェインを過剰に摂取すると、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、甲状腺機能亢進症の症状を悪化させる恐れがあります。また、バランスの良い食事と適度な休息を心掛け、ストレスを溜めないようにすることも大切です。

Sさん:バセドウ病と診断されると一生薬を飲む必要がありますか?

O医師:抗甲状腺薬を中止できる場合もありますが、再発する可能性もありますので、内服を中止できたとしても、定期的な血液検査は必ず必要です。


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