認知症は、記憶力や判断力の低下などにより、日常生活に支障をきたす状態を指します。早期発見と適切な対応が重要です。
Sさん:最近、物忘れが増えてきたように感じます。認知症の検査はどのように行われるのでしょうか?
O医師:認知症の検査は、認知機能の程度を評価する検査と、原因を特定する検査に分かれます。前者には、記憶力や判断力を評価する心理検査(HDS-Rなど)が含まれ、後者には、脳の画像検査や血液検査が含まれます。
Sさん:もし認知症と診断された場合、どのような治療法がありますか?
O医師:認知症の治療法は、薬物療法と非薬物療法に分かれます。薬物療法では、症状の進行を遅らせる薬が使用されますが、根本的な治療法はまだ確立されていません。非薬物療法として、リハビリテーションや生活環境の整備が重要です。
Sさん:薬物療法について詳しく教えてください。
O医師:認知機能改善薬である下記のような薬は、認知症の中核症状である記憶障害や判断力の低下などを改善することを目的としています。具体的には、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を抑制することで、神経伝達を促進します。代表的な薬剤には以下のものがあります:
最近では、ドナネマブ、レカネマブというような、アルツハイマー病の進行を遅らせることを目的とした新しい治療薬も登場しています。これらは、脳内に蓄積するアミロイドβというタンパク質に作用し、その除去を促進することで効果を発揮します。
・ドナネマブ(商品名:ケサンラ®)
ドナネマブは、アミロイドβの中でも「ピログルタミル化」という特定の変化を持つアミロイド斑に選択的に結合する抗体医薬です。この結合により、ミクログリアという免疫細胞を介してアミロイドβプラークの除去を促進します。
臨床試験では、軽度認知障害および軽度のアルツハイマー病患者において、認知機能の低下を抑制する効果が示されています。
・レカネマブ(商品名:レケンビ®)
レカネマブは、アミロイドβの中程度の大きさの凝集体であるプロトフィブリルや、より大きなアミロイド斑に結合する抗体医薬です。この結合により、脳内のアミロイドβを除去し、アルツハイマー病の進行を遅らせることが期待されています。
臨床試験では、早期のアルツハイマー病患者において、認知機能や日常生活機能の低下を抑える効果が報告されています。
Sさん:認知症を予防する方法はありますか?
O医師:認知症の予防には、適度な運動やバランスの取れた食生活、社会的な交流が効果的とされています。また、生活習慣病の予防も重要です。
Sさん:具体的には、どのような生活習慣が予防に役立つのでしょうか?
O医師:例えば、定期的な有酸素運動や、魚や野菜を中心とした食事、趣味やボランティア活動などの社会参加が挙げられます。これらは脳の健康維持に役立ちます。
Sさん:早期発見のために注意すべき兆候はありますか?
O医師:物忘れが日常生活に影響を及ぼすようになったり、判断力の低下や性格の変化が見られた場合は、早めに専門医に相談することが大切です。
Sさん:ありがとうございました。日頃から予防に努め、異変を感じたら早めに受診するよう心がけます。
O医師:それが大切です。定期的な健康チェックも忘れずに行いましょう。
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