脂質異常症は、適切な診断と治療、そして予防が重要な疾患です。以下に、専門医とのインタビュー形式でその詳細をお伝えします。
Sさん:まず、高脂血症とはどのような状態を指すのでしょうか?
O医師: 高脂血症(脂質異常症)とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)の濃度が基準値を超えた状態を指します。特に以下のような状態があると、高脂血症と診断されます。
高脂血症は動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気のリスクを高めるため、適切な管理が重要です。
Sさん:高脂血症の診断はどのように行われるのでしょうか?
O医師: 診断は基本的に血液検査によって行われます。空腹時に採血し、血中の脂質の値を測定します。また、家族歴や生活習慣、他の病気の有無も診断の際に重要になります。
Sさん:高脂血症の治療方法について教えてください。
O医師: 治療は大きく分けて「生活習慣の改善」と「薬物療法」の二つがあります。
1. 生活習慣の改善
生活習慣の見直しは、高脂血症の予防・改善に非常に重要です。
※アルコールの適量とは、男性で1日20g、女性で10g以下に抑えることが望ましいです。アルコール20gは、一般的な基準で換算すると以下のような量に相当します。
お酒の種類 |
アルコール濃度(例) |
飲酒量 |
ビール |
5% |
約500ml(中ジョッキ1本) |
ワイン |
12% |
約200ml(グラス1杯半~2杯) |
日本酒 |
15% |
約1合(180ml前後) |
2. 薬物療法
生活習慣の改善を行っても脂質の値が下がらない場合、以下のような薬が処方されることがあります。
Sさん:高脂血症を放置すると、どのような病気のリスクがありますか?
O医師: 高脂血症を放置すると、動脈硬化が進行し、以下のような疾患のリスクが高まります。
Sさん:高脂血症の治療目標について教えてください。
O医師: 脂質異常症の治療目標値は、患者さんの動脈硬化性疾患のリスクに応じて設定されます。以下に、リスクカテゴリー別のLDLコレステロール(LDL-C)およびnon-HDLコレステロールの目標値をまとめた表を示します。
リスクカテゴリー |
LDL-C目標値 (mg/dL) |
non-HDL-C目標値 (mg/dL) |
カテゴリーⅠ(低リスク) |
< 160 |
< 190 |
カテゴリーⅡ(中リスク) |
< 140 |
< 170 |
カテゴリーⅢ(高リスク) |
< 120 |
< 150 |
二次予防(冠動脈疾患の既往あり) |
< 100 |
< 130 |
注:non-HDL-Cの目標値は、LDL-Cの目標値に30 mg/dLを加えた値と設定されています。これらの目標値は、動脈硬化性疾患の予防を目的として設定されています。具体的なリスク評価や治療方針については、主治医と十分に相談することが重要です。
脂質異常症の治療目標値は、患者さんの動脈硬化性疾患のリスクに応じて設定されます。このリスクは、以下のカテゴリーⅠ(低リスク)、カテゴリーⅡ(中リスク)、カテゴリーⅢ(高リスク)、および二次予防に分類されます。各カテゴリーの具体的な定義は以下のとおりです。
カテゴリーⅠ(低リスク)
カテゴリーⅡ(中リスク)
カテゴリーⅢ(高リスク)
二次予防
これらのリスクカテゴリーに基づき、適切な脂質管理目標値が設定されます。具体的なリスク評価や治療方針については、医師と十分に相談することが重要です。
Sさん:高脂血症という病気で注意すべき点はありますか?
O医師: はい。高脂血症の中には、遺伝的な要因が強い「家族性高コレステロール血症(FH)」という疾患もあります。この場合、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られないことがあるため、早期の診断と適切な治療が必要です。家族性高コレステロール血症(FH)の患者は、一般の方と比較して心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患を発症するリスクが10~20倍以上高いとされています。ご家族に若くして心筋梗塞を発症した方がいる場合は、一度医師に相談することをお勧めします。
Sさん:最後に、患者の皆さんにメッセージをお願いします。
O医師: 高脂血症は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行することが多い病気です。しかし、適切な生活習慣と定期的な検査によって予防・管理が可能です。ご自身の健康を守るためにも、日々の生活を見直し、できることから始めてみましょう。
来院時にお待たせすることのないよう、事前予約をお願いします。インターネットから予約が難しい場合、電話でご連絡をお願いいたします。
TEL: 06-6180-0307