睡眠時無呼吸症候群


睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する状態を指し、健康にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。医師(O医師)と患者(Sさん)の対談形式で、SASの診断、治療、放置した場合のリスクについて詳しく説明します。

 

Sさん:最近、家族から睡眠中のいびきや呼吸の途切れを指摘されました。日中も眠気やだるさを感じることが多いのですが、これは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があるのでしょうか?

O医師:その可能性があります。SASは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が繰り返される状態で、日中の過度な眠気や集中力の低下を引き起こすことがあります。

SさんSASの診断はどのように行われるのでしょうか?

O医師:診断には、睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG)という検査を行います。これは、睡眠中の脳波、呼吸、心拍数、筋電図などを測定し、無呼吸や低呼吸の回数を評価します。この検査により、SASの重症度を判定します。

Sさん:検査にはどのくらいの費用がかかりますか?

O医師:簡易検査の場合は3割負担の方で2700の費用がかかります。眼球運動、脳波、筋電図なども合わせて評価する精密検査では3割負担で約11000円の費用がかかります。当院では、まず簡易検査を行い、SAS診断の判断が困難な場合に精密検査をお勧めしています。

Sさん:治療法にはどのようなものがありますか?

O医師:治療法は、SASの重症度や原因によって異なります。主な治療法としては、以下のものがあります。

  • 生活習慣の改善:肥満はSASの主要なリスク要因の一つです。適切な食事療法や運動療法による減量が推奨されます。また、アルコールの摂取や喫煙は上気道の筋緊張を低下させ、無呼吸を悪化させる可能性があるため、これらの習慣の見直しも重要です。
  • 持続的気道陽圧療法(CPAP:睡眠時にマスクを装着し、一定の陽圧を気道に送り込むことで気道の閉塞を防ぐCPAP療法が第一選択となります。この療法は、多くの研究でその有効性が確認されています。
  • 口腔内装置:軽度から中等度のSAS患者、またはCPAP療法に適応できない患者に対しては、下顎を前方に固定し気道を拡げる口腔内装置が使用されることがあります。この装置は、専門の歯科医師によって個別に作製されます。
  • 外科的治療:解剖学的な異常(例えば、扁桃肥大や鼻中隔弯曲など)がSASの原因となっている場合、外科的手術による治療が検討されます。具体的な手術法としては、上気道の再建術や鼻腔手術などがあります。

Sさん:もしSASを放置した場合、どのようなリスクがありますか?

O医師SASを適切に治療しない場合、以下のようなリスクが高まります。

  • 心血管疾患:高血圧、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが増加します。 例えば心筋梗塞は5倍、脳卒中は3倍の罹患リスクの上昇が報告されています。
  • 生活習慣病:糖尿病や脂質異常症の発症リスクが高まります。
  • 日中の眠気:過度の眠気により、交通事故や労働災害のリスクが増加します。
  • 精神的影響:イライラや集中力の低下など、精神的な不調を引き起こす可能性があります。

SさんSASはどのくらいの人が患っているのでしょうか?

O医師:日本におけるSAS患者は約500万人とされていますが、そのうち適切に治療を受けているのはせいぜい1割程度と言われています。

Sさん:治療を受けることで、これらのリスクは軽減されるのでしょうか?

O医師:はい、適切な診断と治療を受けることで、これらのリスクを大幅に低減し、生活の質を向上させることが可能です。日中の眠気やいびきなどの症状がある場合は、専門医への相談を検討することが推奨されます。


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