深部静脈血栓症


深部静脈血栓症(DVT)は、主に下肢の深部静脈に血栓が形成される疾患で、適切な治療が行われない場合、重大な合併症を引き起こす可能性があります。以下に、医師(O医師)と患者(Sさん)の対談形式で、DVTの合併症、治療方法、予防方法について詳しく説明します。

 

Sさん:最近、足の腫れと痛みを感じています。この症状は深部静脈血栓症(DVT)の可能性があるのでしょうか?

O医師:はい、足の腫れや痛みはDVTの典型的な症状の一つです。DVTは、主に下肢の深部静脈に血栓が形成される疾患で、適切な治療が行われない場合、重大な合併症を引き起こす可能性があります。

SさんDVTを放置すると、どのような合併症が生じる可能性がありますか?

O医師:最も深刻な合併症は、血栓が血流に乗って肺の動脈を塞ぐ肺塞栓症です。これは、呼吸困難や胸痛を引き起こし、重篤な場合は生命の危険を伴います。

SさんDVTの治療方法について教えてください。

O医師:治療の主な目的は、血栓の拡大や新たな血栓の形成を防ぐことです。以下の方法が一般的に用いられます。

  • 抗凝固療法:血液を固まりにくくする薬剤(抗凝固薬)を使用します。
  • 圧迫療法:弾性ストッキングや弾性包帯を使用して、血流を促進し、血栓の拡大を防ぎます。
  • カテーテル血栓溶解療法:カテーテルを用いて血栓を直接溶解する方法です。
  • 外科的血栓摘除術:手術で血栓を除去する方法です。
  • 下大静脈フィルター留置術:血栓が肺に到達するのを防ぐために、下大静脈にフィルターを挿入する方法です。

Sさん:どのような方がDVTを起こしやすいと言われていますか?

O医師:深部静脈血栓症(DVT)の発症リスクを高める危険因子には、以下のようなものがあります。

  • 年齢60歳以上の高齢者はリスクが高まります。
  • がん:悪性腫瘍やその治療(特に化学療法)は、DVTのリスクを増加させます。
  • 喫煙:喫煙は血液の凝固性を高め、血栓形成のリスクを上昇させます。
  • エストロゲン療法:経口避妊薬やホルモン補充療法は、血栓症のリスクを高めます。
  • 長時間の安静:血液の流れを滞らせ、血栓形成のリスクを増加させます。
  • 手術や外傷:特に整形外科手術や重度の外傷は、DVTのリスクを高めます。
  • 肥満:肥満は血液循環に影響を及ぼし、DVTのリスク要因となります。
  • 妊娠および産後:妊娠中や出産後6週間以内は、DVTのリスクが上昇します。
  • 血栓性素因:プロテインC異常症、プロテインS異常症、抗リン脂質抗体症候群などの血栓性素因を持つ方は、DVTのリスクが高まります。

SさんDVTを予防するためには、どのような方法がありますか?

O医師:予防策として、以下の方法が挙げられます。

  • 早期の歩行再開:手術後や長時間の安静後は、できるだけ早く歩行を再開することが重要です。
  • 下肢の挙上:足を心臓より高く上げることで、血流を促進します。
  • 弾性ストッキングの着用:弾性ストッキングを着用することで、血流を促進し、血栓の形成を防ぎます。
  • 間欠的空気圧迫装置の使用:足裏やふくらはぎを空気圧で圧迫する装置を使用して、血流を促進します。
  • 抗凝固薬の使用:リスクの高い患者には、予防的に抗凝固薬を投与することがあります。

Sさん:日常生活で気をつけるべきことはありますか?

O医師:長時間の座位や立位を避け、適度な運動を心がけることが大切です。また、水分を十分に摂取し、血液の粘度を下げることも予防に役立ちます。

Sさん:ありがとうございました。予防策をしっかりと実践し、健康管理に努めます。


来院時にお待たせすることのないよう、事前予約をお願いします。インターネットから予約が難しい場合、電話でご連絡をお願いいたします。 

TEL: 06-6180-0307