メタボリックシンドローム


メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、内臓脂肪の蓄積により、高血圧、高血糖、脂質異常症などが組み合わさり、心血管疾患のリスクが高まる状態を指します。

 

Sさん:最近、健康診断で「メタボリックシンドロームの疑いがある」と言われました。具体的な診断基準はどのようになっているのでしょうか?

O医師:メタボリックシンドロームの診断基準は、内臓脂肪の蓄積を示すウエスト周囲径(腹囲)と、以下の3つの項目のうち2つ以上が該当するかどうかで判断されます。

  1. 高血圧:収縮期血圧が130mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上
  2. 高血糖:空腹時血糖値が110mg/dL以上
  3. 脂質異常症:中性脂肪値が150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値が40mg/dL未満

Sさん:ウエスト周囲径の基準値について、最近変更があったと聞きましたが、具体的にはどう変わったのでしょうか?

O医師:はい、最近の研究により、ウエスト周囲径の基準値が見直されました。従来は、男性85cm以上、女性90cm以上が基準とされていましたが、新たな提案では、男性83cm以上、女性77cm以上とされています。

Sさん:この変更は、診断や予防にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

O医師:新しい基準値により、より早期に内臓脂肪の蓄積を検出し、心血管疾患のリスクを高める要因を早期に発見することが可能となります。

Sさん:実際にメタボリックシンドロームにはどのような病気のリスクがありますか?

O医師:メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積に加え、高血圧、高血糖、脂質異常症などの危険因子が重なることで、以下の疾患リスクが高まります:

  • 心血管疾患:心筋梗塞や狭心症などの心臓病の発症リスクが高まります。
  • 脳血管疾患:脳卒中(脳梗塞や脳出血)などのリスクが増加します。
  • 2型糖尿病:メタボリックシンドロームの方は、そうでない方と比べて、2型糖尿病になるリスクが約3倍高いとされています。
  • 非アルコール性脂肪肝:内臓脂肪の蓄積により、肝臓に脂肪が蓄積し、非アルコール性脂肪肝リスクが高まります。
  • 高尿酸血症:尿酸値が高くなり、痛風などのリスクが増加します。
  • 腎臓病:腎機能の低下や慢性腎臓病のリスクが高まります。
  • 睡眠時無呼吸症候群:肥満により、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群のリスクが増加します。
  • 認知症:メタボリックシンドロームは、認知機能の低下や認知症のリスクとも関連しています。
  • がん:内臓脂肪の蓄積は、特定のがんのリスクを高める可能性があります。

これらの疾患リスクを軽減するためには、適切な食事や運動などの生活習慣の改善が重要です。

Sさん:メタボリックシンドロームを予防するためには、どのような生活習慣を心がければ良いのでしょうか?

O医師:予防には以下の点が重要です。

  • 食生活の改善:食塩の摂取を抑える(厚生労働省が公開している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、 1日当たりに摂取する「食塩相当量」を男性は7.5g未満、女性は6.5g未満(18歳以上の場合)とする目標量が設定されています。)、食物繊維を多く含む食品(こんにゃくやキノコなど)を積極的に摂取する、甘いジュースやお菓子を控える、緑黄色野菜を多く摂るなどが効果的です。
  • 適度な運動:ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うことが推奨されます。
  • 適正体重の維持BMI(体格指数)を適正範囲内に保つことが重要です。日本肥満学会では、BMI22を適正体重(標準体重)とし、最も病気になりにくい体重とされています。
  • 禁煙:喫煙は心血管疾患のリスクを高めるため、禁煙が推奨されます。

Sさん:具体的な食事の工夫や注意点はありますか?

O医師:はい、以下の点に注意すると良いでしょう。

  • 食事の時間:夕食は寝る3時間前までに済ませるよう心がけましょう。寝る直前の食事は、睡眠の質を低下させ、肥満の原因となることがあります。
  • 外食や市販食品の選び方:外食や市販のお惣菜、コンビニの食品を利用する際は、主食、主菜、副菜のバランスを意識し、栄養バランスの取れた組み合わせを選ぶようにしましょう。

Sさん:運動について、具体的にどのようなことをすれば良いでしょうか?

O医師:まずは、無理のない範囲で始めることが大切です。ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、自分に合った運動を見つけ、継続することが重要です。

Sさん:ありがとうございました。生活習慣を見直し、健康的な生活を心がけたいと思います。

O医師:それが大切です。定期的な健康チェックも忘れずに行いましょう。


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